2007年7月20日金曜日

道内最大級直売所、開設ピンチ 農業委「調整区域内ダメ」 札幌での計画に待った

 札幌の農業資材卸が同市東区丘珠町八八一で計画していた道内最大級の農産物直売施設の開設に暗雲が垂れこめている。道央圏の農家二百人の販路を広げようと計画された施設に待ったをかけたのは、ほかならぬ札幌市農業委員会。予定地一帯は市街化調整区域で「大型施設建設は基本的に許されない」との行政判断だが、農業者の代表機関の指摘で、販路拡大のアイデアが閉ざされかねないとあって関係者の心中は複雑だ。
 計画では、農業資材卸の北進農材が、地元の造園会社の敷地(農地)内に五百平方メートルのビニールハウスを建設し、五月にも各農家が持ち込んだ農作物の販売を開始する予定だった。だが四月下旬に農業委から「市街地調整区域内のため、都市計画法上、このような施設は認められない」との行政指導があり、ハウスは完成したものの、開業できないままだ。
 農業委によると、市街化調整区域で特例的に開設が認められる農産物直売施設は、農家の運営による建築面積二百平方メートル以下の規模で、扱う商品の量と販売額の50%以上が自分の作物が占めることが条件だ。
 五百平方メートルで二百人の農家の作物を扱う北進農材の計画はその条件から逸脱しており、同社と造園会社の両社は「立地が適正か、検討する発想すらなかった」と、当初計画の甘さを認める。
 そこで、造園会社の生産部門の従業員と、近隣の農家が共同で農業生産法人を設立。農業法人が物販施設を運営し、出資農家の作物を50%以上扱う形に切り替えることを模索している。
 だが、農業委は「広範な地域から生産物を集める性格の施設を認めるのは難しい。これが通ると、食品スーパーの市街化調整区域出店も拒めなくなる」としており、実現はなお不透明だ。直売所に賛同した中小農家二百人は、有機農法などに取り組むものの、販路開拓で壁にぶつかっているケースも多く、直売所はその助けになるはずだった。皮肉にも「農業者の公的利益代表機関」である農業委員会が待ったをかけている形。直売所で販売を予定していた農家からは「そろそろ収穫時期なんだけど、どうすれば…」と困惑する声が挙がっている。

(北海道新聞より引用)

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