2008年3月30日日曜日

聴覚障害不正 手帳申請、年100人超 医師の乱発浮き彫り

聴覚障害の身体障害者手帳の不正取得疑惑で、札幌の耳鼻咽喉(いんこう)科医(73)が指定医として関与した身障者手帳申請者が一九九四年以降で八百八十四人に上ることが、二十七日までの北海道新聞の調べで分かった。申請者数は年間百人以上の年もある。一般的には医師が手帳申請に関与するのは年間数件とされ、この医師の特異性があらためて浮き彫りになっている。
 この医師が手帳申請のための診断書を作成する指定医として関与した手帳申請者八百八十四人のうち、九割以上が最重度の聴覚障害二級の取得者とみられる。最初の申請者は九四年度の空知管内在住者。申請者はそれ以後、空知、渡島、網走管内を中心に増え続け、二〇〇三、〇四年度は年間百人台に達した。
 道管轄分の申請者は六十三市町村六百七十五人で、全体の76%。申請者が百七十九人の札幌市は、〇一年度以前の手帳取得者に対する再検査の実施を決め、対象者は従来の九十六人に六十八人が新たに加わった。
 一方、手帳の返還者数は肢体不自由などの障害者で聴覚障害ではないとされたケースも含め、六百三十六人にまで膨らんだ。
 こうした状況について、札幌の別の耳鼻咽喉科医は「手帳申請の診断書作成は年間で数件程度。二級はほとんどなく、驚くべき数字だ」と断言。自治体の手帳交付担当者も「これでは診療を主とする医師ではなく、手帳を乱発する『検査マン』だ」と話す。
 問題の医師は昨年十一月の北海道新聞の取材に対して、関与した手帳申請者の多さを認めながら、「私が集めた患者ではなく、向こうからお願いしてくる。医師は来た人を帰すわけにはいかない」と説明している。

(北海道新聞より引用)

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